―アナストってそもそもどんなきっかけで始まったのでしょうか。
まき(B&Vo)●最初はドラムのヤマシタ(Dr&Cho)とマキが同じ高校で、文化祭に出るバンドをやろう!ってことになったのがきっかけですね。当時は女の子4人組で、
なぜかまきはキーボードで加入してたんですけど、スタジオで練習繰り返してたらある日、
「歌が唄いたい!」って思い立ちまして…それで歌うようになりましたね。文化祭の後、もっとライブがやりたいと思うようになって、地元のライブハウスとかに行ったりしてるうちにヤマシタとまきの2人だけになったんです。それでもどうにか動いていたくって、ヘルプのギターの子を入れながらギターを探してましたね。ライブのMCとかでも
「ギター募集してます!」って言ってたんです。そしたら、
ある日ライブのアンケートに「私、ギターやりたいです」っていう子がいたんですよ。それがミヤ(G&Cho)。さっそく連絡して、スタジオに入ってみよう!ってことで音を出してみたら、なんとミヤはそれまでギターをいじったことがなかったようで、スタジオに入っても
シールドをどれに挿すのかさえわからずに来たんです。全然弾けなかったんでどうしよう…って思ったんだけど、話してるうちにやっぱりこの子とやりたいな~って思うようになって、今の3人がそろいましたね。
―高校生からだともう5年くらい経つわけですが、続けてこられた理由って何だと思いますか?
●
基本すっごい仲が良いんですよ。何するんでも。リハが終わってから本番までのあき時間とかも絶対3人で行動するくらい。
やっぱりまきは人間的にあの2人を好きなんだと思う。2人もそう思ってくれてるのか、それで成り立ってるし続けてこられたんだと思いますね。
まきなんかはあの2人とじゃないとバンドできないと思ってる。
―それはなぜ?
●ミヤとまきの2人でいる時は2人して何も考えていないから、何かとうまくいかないんですよ(笑)。
集合時間も守れないし、曲にしたってこのライブまでには仕上げよう!って感じにはこの2人だとならないんですね。だからヤマシタがいてこそなんだなって。別に仕切る感じではないんだけど、
ヤマシタはちょっとずつ「やらなきゃ」っていう雰囲気を出してくれるんですね。それにまきが気がついて、ミヤも動き出すんですよ。
だからヤマシタがいないと何もできないなって思う。
―なるほど…(笑)。この3人じゃなかったら5年も続いてなかったかもしれないですね。
●ヤマシタがそういうキャラじゃなかったら、まずやってこれなかったでしょうね。
ミヤもミヤで、彼女がいないとバンドの空気がのほほんとしないんです。やっぱりのほほんタイムがなくてずっと張り詰めてたら、投げ出したくなっちゃう時があるんですよね。だからとっても必要な存在です。それがこの3人で続けてこれた理由だと思う。
―ライブのスタンスや楽曲の方向性も最初からできあがっていたのでしょうか。
●ものすごく変化してきましたね。ミヤがギターで入り始めた時は、ライブのイメージも知識がない分全然わからなくて、とりあえず曲をやるっていうふわふわしたものでしたね。だから
ギャルバンってなめられたくない!っていう意識も全然なくて、女の子だからこういう曲もいいんじゃない?って話しながら曲作りしてましたね。ただ、当時から他にもたくさん女の子バンドはいたけど、その人たちとは違う音楽を聴いてたかもしれない。
―たとえば何を聴いてたんでしょうか。
●バンドやってる周りの女の子は、GO!GO!7188さんとかJUDY AND MARYさんとかだったんですけど、
アナストはいきなりオフスプリングから始めてみたり、ハイスタやってみたりとか。そう思うと最初から今みたいな気持ちが多少あったのかもしれないですね。そんなこんなで何年かやっていくうちに変わってきて、今のライブでできる曲、
観ていてテンションがあがるような曲をガンガンやるんだ!っていう意識がどんどん高まっていきました。
―そうやって方向性が定まっていくきっかけみたいなものはあったのでしょうか?
●これといって明確なものはないんだけど、ライブハウスのブッキングとかで「この日はギャルバンのイベントだから出ない?」とか「女の子ボーカルばっかり集めたライブ、やらない?」って声を掛けられることがとにかく多かったんです。
なんでいつもこのくくりでしかライブができないんだろう?って気づいた時に、
もっと外の世界を知りたいと思いましたね。イベントに出させてもらうのは楽しかったんだけど、それを“女の子”でくくる必要があるのかな?って思った時からちょっとずつ意識するようになったんだと思う。観ている人は絶対悪気はないしそう思ってないのかもしれないけど、
女の子としか観られてないんだ…って自分で意識しちゃったら、もうダメなんですよね。女の子なのにすごいね、女の子だからそういう曲ができていいねとか。
―男の子バンドだとその次元は全く評価の対象にはなりませんもんね。
●そうなんですよ。
男女関係ないラインに早く立ちたいって思いました。女の子だからって別にすごくないよって意識し始めてから、サウンドにも変化が出たと思います。それにパフォーマンスでもライブでやたら頭を振るようになりましたね(笑)。
翌日は絶対首が筋肉痛。
―自分たちのスタンスとお客さんの視線とのギャップって精神的にもキツくなかったですか?
●まだ今の楽曲たちがなかった頃はお客さんも微笑ましい感じに観てるのがホントわかってましたからね。最近の楽曲をやるようになってからは、お客さんが観ているっていうよりも感じてくれているのが、体の動きとかでわかるんですよね。
―その手ごたえは楽曲制作にも大きな影響があったのでは?
●とっても影響ありましたね。お客さんが楽しんでるところを観るのが好きで、
楽しくなるような曲ってどんなのかな?って考えながら曲を作るようになったし。
―今みたいなお客さん参加型の曲が増えて、どんどん進化し続けているアナストですが、アナストに欠かせないものといったら何だと思いますか?
●
やっぱり…ライブ。これだけは絶対欠かせないですね。
ものすごいエネルギーが出る場所だから。レコーディングで1つの曲を作っていくっていう過程もすごく楽しいけど、ライブがないとヤダ。欠かせないですね。あとサウンドでいったらギャーン!って轟音で掻き鳴らすテンション上がる音。
そしてなんといってもお客さん!
―ちなみにアナストってすごい数のライブをこなしていますが、そのライブに対するギラギラした気持ちを絶やさずにいられるのはなぜだと思いますか?
●なんでライブが好きなのかって考えたこともないですよ。ライブをやり始めた時からそうですけど、
考える間もなく「好き」「とにかくやる!」っていう気持ちが優先していましたね。あんまり行動派ではないんだけど、これ!と思ったらやっちゃうんです。
―その勢いはどこから生まれてくるんでしょうか。
●音の中にいるのが気持ちいいんです。だから自分がまたその中にいられる状況を作りたいんだと思いますね。ステージと普段とで別のキャラに…みたいな意識はしてないんですが、
音が鳴ると自分の中でスイッチが変わる瞬間があるんです。それでちょっと毒舌なことを吐いてみたくなったりするんですよね。ライブの1曲目の出音でヤマシタもミヤもスイッチが入るのがわかります。
―アナストの轟音とお客さんのすごいエネルギーが渦巻いているステージの上で、アナストの3人を強く繋ぎとめているものってなんだと思いますか?
●
一体感かな。それは意識してやってる部分です。ステージと客席との温度差を作りたくなくって、それこそ最前列の人から一番後ろの人までと、アナスト3人が同じ温度でいたいと思うから。手を挙げたりとか叫んだりとかしていなくても、その人の気持ちが盛り上がっていれば同じ温度感を感じられるんですよね。
―ライブではそんな一体感が欠かせないとのことですが、それを生み出す楽曲でのアナストの武器ってなんでしょうか。
●
ヤマシタの2ビートのドラムは欠かせないな。最近のライブでのことなんですが、
早いドラムを叩けば叩くほど、何あの人!?みたいな目で観てくれる人が増えてきたんですよ。すっごいドラムですよね。
あとは…シャウト系の声。それに全部がコアな曲っていうよりは、
みんなが歌えるようなメロディも大切にしてますね。
―最近のアナストには、そのメロディが生かされた、今までになかったタイプの曲も増えてますよね。
●お客さんとしては楽しいライブ楽しい楽曲を求めてるんだろうなって思うんです。でも最近ミドル・テンポの曲をやるようになったから、今まで騒ぐだけだったライブの中にそういう曲が入るっていうのはアナストにとってとても新しいことなんですよね。その1曲分も、ミドル・テンポな曲じゃなくって今までの楽しい曲をやったほうがいいのかな?っていう葛藤はあったりしますね。
けど、そのミドル・テンポの曲をやることによって、あんまり激しいのを聴かない人とかも「ちょっとアナストを聴いてみようかな」って思ってくれるんじゃないかなって思うんです。だから今はアナストにとって挑戦タイムですね。新しい曲をどんどんやることで、新しいアナストにどんどん変化していきたいと思ってます。
―その変化や葛藤ってステージにいるアナストからは想像できないくらい地道で大変なものだと思うのですが、なにかとまとめてくれるヤマシタがいたり、のほほんさせてくれるミヤがいたりすることで乗り越えていけるんでしょうね。
●そうですね。
その変化って最初は手探りだったんですけど、自分たちがこれを伝えたいんだ!って強く思いながら歌ったりすると、お客さんも認めてくれるんだな~って感じたんです。こういう曲もアナストはやるんだ~って観ててくれる。だから3人で意識してるのは、お客さんに楽しんでもらいたいっていうのももちろんだけど、それだけじゃなくって、
今アナストの3人が感じてることを曲を通じてお客さんにちゃんと伝えることを大切にすること。
―今までのお客さんから楽しめる曲だけじゃなく、これからのアナストが伝えたいことを聴いてくれるようにもっていこうとする3人の真摯な姿勢がちゃんと伝わってくんでしょうね。ご自身的にはアナストをどうしていきたいと思いますか?
●
もっと多くの人と一緒に楽しめるバンドになりたいっていう思いが一番大きいかな。だから今のアナストに点数をつけるとしたら9点!もうすこしで10点になれそうなんだけど…ってところです。
―それは10点満点中?
●いや、もちろん100点満点ですよ!
もう少しで2桁にいけそうなんです(笑)。
―ではその2桁にいくために今のアナストに必要なものというと?
●その足りない1点のためにはですね…
ちゃんと練習する!とか、ちゃんと歌う!とか、ライブで歌詞を間違えない!とかかな。…いっぱいあり過ぎですね(笑)。でもアナストはまだまだこれからなんです。
もっともっと先があると思ってるから、今はまだ9点ぐらいでいい。
―あえて9点っていうのがカッコいいですね。これからいくらでも成長できるんだっていう意味を込めての9点。
●そう、未来がある9点なんです。そういう気持ちでいろんなことに挑んでいきたいし、今よりもっと多くの人にアナストを知ってほしいから。
もちろんずっと9点はイヤですよ~。だから頑張ります!
(Text:佐藤瑞穂)